Twitter 300字ss  お題:「訪れ」
破滅の足音

2016.09.03


 破滅の足音は、随分前から聞こえていた。
 私が王位を簒奪したとき、貴族が王を傀儡として甘い蜜をすするようになってから、あるいは賢王と謳われた祖父が病に倒れたときにも。いつからこの国の歯車が狂ってしまったのか、よく知る者は皆姿を消した。
 私が生まれる前から既に、この国は根腐れを起こしていた。枝葉が枯れてから慌てても手遅れだ。
 革命の炎が城に迫っている。

「……女王、その首貰い受ける」
 革命軍よりも前に一人の男が現れ、私に剣を突きつけた。少しでも動けば容易に喉を切り裂ける位置に、刃が狂いなく静止している。
「そんな顔しないで?」
 愛しい貴方がここに来るのを私は待っていた。
 踏み荒らされる前に、一息に手折っておくれ。


この後の展開はご想像にお任せします。
Copyright ©2016 Maki Tosaoka